AWS入門 初心者が覚えておくべき代表的用語
ITシステムを構築する上で、AWS(Amazon Web Services)は近年様々な会社で利用が増えており、避けては通れない道となってきています。AWS関連の用語には様々な用語がありますが、AWSを試してみる、利用する、勉強するうえで、最低限知っておくべき代表的な用語について、本記事で判りやすく解説していきます。
目次
クラウドコンピューティングとは?
クラウドコンピューティングとは、サーバやサーバ上にあるアプリケーションを、インターネットなどのネットワーク経由で利用する仕組みのことを指します。クラウドコンピューティングは、ユーザーの効率化というニーズによって生まれました。従来であれば、ローカル環境(=つまり、ネットワークに繋がれていない環境)にあるPC内にさまざまなアプリケーションをインストールして利用していました。
例えば、自宅のPCにWordやExcelといったアプリケーションをインストールしておき、利用する形態です。そうすると、WordやExcelに新しいバージョンが出た場合に、アップデートを行う必要が出てきます。アップデート作業に手間がかかったり、アップデート後に特定のアプリケーションが動かなくなったり、といった経験をしたことがあると思います。
また、ライセンスについても、毎年更新したり、契約期間中に利用をやめたいのに契約上やめられなかったり、といったこともあります。クラウドコンピューティングでは、アップデートといったアプリケーションやサーバに関わる運用管理はサービス提供者側で行うため、利用者側で行う必要がありません。また、利用者は基本的に使った分だけお金を払えばいいので、コストも効率化できます。
このように、クラウドコンピューティングは利用者の効率化を実現する為に生まれてきました。クラウドコンピューティングの種類は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
IaaS
「Infrastructure as a Service」の略で「イアース/アイアース」と読みます。インターネットを経由してサーバなどのITインフラを利用する形態です。
PaaS
「パース」と読み「Platform as a Service」の略で、アプリケーションを利用するためのOSやネットワーク設定が済んでいる状態の「プラットフォーム」を利用します。
SaaS
「Software as a Service」の略で「サース/サーズ」と読みます。従来はパッケージとして提供されていたアプリケーションをインターネット上で利用できるサービスです。
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AWSはどう始まった?
AWSは巨大IT企業群の「GAFA」でおなじみのAmazonによって2006年にリリースされたクラウドコンピューティングサービスです。EC(通販)事業で苦戦していたAmazonにおいて、Amazon現CEOのAndy Jassy氏によってスタートしたビジネスです。
当時はAmazonでもサーバを購入・それぞれ設定して、その上にECサイトを構築していましたが、サーバの仮想化という効率的にサーバを利用する技術や、増えていくサーバの効率化、管理の自動化といった思想に基づいて、Amazon社内のサーバを増やしていき、そのサーバや機能を外部の企業でも使えるようにしたのが、AWSのはじまりです。
2010年には、Amazonで利用されているITインフラはすべてAWSに移行しています。また、2011年には日本でも利用できるようになりました。さらに近年では、AWS内のサーバの維持に使われる電力はすべてクリーンエネルギーに置き換えるなど、環境にも配慮した形で事業を拡大し続けています。
現在は、ウェブサービスに限らず、量子コンピュータや5G通信機能、人工衛星を利用したGEOコーディングといった、多種多様なサービスを提供し、クラウドのシェアにおいては世界で圧倒的に1位を誇っています。
AWSを利用するうえでぜひ押さえておきたい用語
AWSには多種多様なサービスが存在しますが、利用する上で押さえておきたい基本的な用語について記載していきます。
VPC
VPC(Virtual Private Cloud)は、AWSアカウント内に構築できる仮想ネットワークです。このネットワーク内にAmazon EC2などのさまざまなAWSリソースを配置してITシステムを構築していくことになるため、AWSの基本的なサービスといえます。複数のVPC間の接続(ピアリング接続)機能や、インターネットに公開するWebサイトなどを配置するパブリックVPC、インターネットに公開しないシステムを配置するプライベートVPCといった様々な用途に合わせて構築が可能です。
リージョン
リージョン(region)とは、日本語で「地域」を意味します。AWSは世界中にデータセンターを配置し、サービスを展開していますが、世界を複数のリージョンに分割し、リージョンごとにサービスを提供しています。例えば、日本においては『東京リージョン』と、『大阪リージョン』でサービスが展開されています。
リージョン間は電力系統が完全に分離されており、あるリージョンで停電などの障害が発生しても他のリージョンでは影響が全くないようになっています。
AZ(アベイラビリティゾーン)
一つのリージョンは複数のAZ(availability zone)から構成されています。例えば、東京リージョンにおいてはAZが4つ(A~D)用意されています。AZもリージョンと同様、電力系統がそれぞれ独立するように設計されており、1つのAZにおける障害がほかのAZに影響が及ばないように設計がされています。したがって、複数のAZにサーバなどのリソースを配置することでシステムの可用性を高めることができますが、広域な災害などでリージョン全体に障害が発生した場合は、ITシステムが止まってしまう、という特徴があります。
インスタンス
インスタンスとは、EC2(Elastic Compute Cloud)というAWSのサービスを利用して構築できるサーバのことです。伸縮性や弾力性を意味するElasticという言葉通り、ユーザーの必要に応じてCPUやメモリなどのスペック、LinuxやWindowsなどのOSを変更できます。
IAM(アイアム)
IAM(Identity and Access Management)とは、AWSのサービスで「認証(相手が誰なのか確認すること)」と「認可(権限を与えること)」の設定を行うことができるサービスです。AWSのセキュリティを考えるうえで基本的なサービスになります。「認証」「認可」を正しく設定することで、AWSの利用者や、利用者がアクセスできるAWSサービスの範囲を制御することができます。
AMI
AMI(Amazon Machine Image)とは、インスタンスを起動するのに必要なOSやデータの塊です。既存のEC2インスタンスから、バックアップ等の目的で、自分で作成することができます。別アカウントとの共有や、他リージョンへのコピーも可能です。
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実際の構築の流れ
それでは、AWSのアカウントを実際に作ってみましょう。
アカウント作成
アカウント作成に必要な情報は、
・メールアドレス
・パスワード
・アカウント名
・連絡先(氏名、住所、電話番号など)
・支払情報(クレジットカード番号など)
・電話もしくはSMSを受信できる端末(本人確認用)
です。順に作成方法を記載してきます。
①まず、下記にアクセスします。
https://portal.aws.amazon.com/billing/signup#/start
②メールアドレス、パスワード、アカウント名を入力します
③連絡先情報を入力し、AWS カスタマーアグリーメント(利用規約)に同意をチェックします
④クレジットカード情報を入力します
⑤電話かSMSにて本人確認をします
⑥AWSサポートプランを選択します。基本は無料のベーシックプランですが、要件に応じて変更してください。
これでアカウント作成は完了です。
AmazonEC2で仮想サーバーを構築する
次に、EC2でインスタンス(仮想サーバ)を構築してみましょう。
①AWS マネジメントコンソールにアクセスします
②サービス群の中から、EC2を選択します。見つからない場合は画面上部の検索バーに『EC2』と入力するとでてきます。
③画面左のメニューバーから、『インスタンス』をクリックします。
④オレンジ色の、『インスタンスを起動』をクリックします。
⑤ベースとなるOSを選択します。
⑥インスタンスタイプを選択し、『確認と作成』をクリックします。これで完成です。
詳細な設定を行いたければ、⑥の時点で『次ステップ:インスタンスの詳細設定』をクリックするといいでしょう。
まとめ
AWSを利用する上で基本的な用語について解説しました。これらの用語を押さえておけば、AWSで基本的な操作や設計を行うことができます。また、アカウント作成やインスタンスの作成も、手順に従えば、それぞれ10分程度で行うことが可能です。これを機に、AWSを利用し、ITシステムの効率化を行っていくといいでしょう。