AWSのBIサービスの代表Amazon QuickSightとは?
目次
Amazon QuickSightとは?主な機能と特徴
Amazon QuickSightはAWS(Amazon Web Services)で利用できるBI(ビジネスインテリジェンス)サービスです。デジタル化が進んでいる昨今の企業においては、さまざまな企業活動で生じるデータを有効活用する必要があります。
そのようなデータ活用を進めるうえで、データを可視化し、関係者がアクセスして、データをもとに意思決定を行う仕組みやプロセスのことを『ビジネスインテリジェンス』といいます。AWSでは、ビジネスインテリジェンスを進めるためのツールとしてAmazon QuickSightが提供されています。本記事ではAmazon QuickSightがどのような機能を持っているのか、記載していきます。
主な機能と特徴は?
Amazon QuickSightの主な特徴や機能を紹介していきます。
- インメモリDBによる高速演算
取り込んだデータを高速表示、集計するために、SPICEと呼ばれるインメモリDBを採用しています。そのため高速なデータの更新・演算が可能です。 - ダッシュボード作成・表示機能
分析結果を集約して表示できるダッシュボードを簡単に作成できます。作成したいグラフなどのVisualを選択した後は、ドラッグ&ドロップで画面上のどこに表示するかを決めることでダッシュボードを作成可能です。見た目のカスタマイズも簡単に可能であるため、例えば企業カラーに合わせた見た目のダッシュボードも簡単に作成することができます。 - レポート生成機能
データを分析した結果を分析レポートとして、指定したメールアドレスに配信することが可能です。配信先は、個別のユーザ・グループ毎に分割することができるため、きめ細やかな配信が可能です。 - 機械学習による分析も利用可能
取り込んだデータを元に機械学習による簡単な異常検知や予測を利用することができます。独自で機械学習モデルを利用したい場合など、複雑な分析を行いたい場合はAWSの機械学習サービスであるAmazon SageMakerと連携することもできます。 - アプリケーションとの連携
作成したダッシュボードや、アドホックに(一時的に)ダッシュボードを作成する機能そのものを独自のアプリケーションに埋め込むことができます。
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利用可能なデータソース
先述の通りAmazon QuickSightはAWSやその他のサードパーティツールのデータ、オンプレミス上のデータを利用してダッシュボードを作成する機能があります。具体的にデータソースとしては、2022年7月現在、下記が利用できます。
リレーショナルデータベースのデータ
Amazon Athena、Amazon Aurora、Amazon OpenSearch Service 7.7 以降、Amazon Redshift、Amazon S3、Apache Spark 2.0以降、AWS IoT Analytics、Exasol 7.1.2 以降、MariaDB 10.0 以降、Microsoft SQL Server 2012 以降、MySQL 5.1 以降、Oracle 12c 以降、PostgreSQL 9.3.1 以降、Presto 0.167 以降、Snowflake、Teradata 14.0 以降、Timestream
インポートできるファイルデータの形式
CSV、TSV、ELF、CLF、JSON、XLSX(エクセル)
SaaSのデータ
Jira、ServiceNow、Adobe Analytics、GitHub、Salesforce、Twitter
QuickSightでのユーザ管理
QuickSighは、IAMユーザーのアカウントを持たなくても、独自でIDを発行し、ユーザー管理を行う機能があります。ユーザー管理は、以下の3つの方法が存在します。
- emailアドレス管理(QuickSight独自)
- IAM + フェデレーションによるSSO
- Active Directory連携
それぞれの特徴について具体的に見ていきましょう。
emailアドレス管理(QuickSight独自)
QuickSight独自のID管理機能で、emailアドレスがIDとなります。管理者がメールアドレスを手動で登録していく必要があるため、運用負荷が高いです。小規模な運用や、IAMユーザーを持たない社外の閲覧者などを対象とするといいでしょう。
IAM + フェデレーションによるSSO
ID管理にAWS IAMの機能を利用する方法です。SAML 2.0を使いSSO(シングルサインオン)が可能になるほか、IAMユーザーがQuickSightに初めてアクセスした際、QuickSight内に自動でユーザーを作成可能です。中~大規模利用での一般的な認証方法です。
Active Directory連携
QuickSightがMicrosoft Active Directoryと連携して認証します。QuickSightのホームリージョンと同一リージョンのAWS Managed Microsoft ADが必要にはなりますが、AD Connector等を利用することでオンプレ上のADも利用可能です。
QuickSightでの権限管理
QuickSightでは、下記3種類の権限が存在し、ユーザーごとにどの権限を付与するか定義します。
- Admin(管理者)
QuickSightのユーザー作成など、QuickSightに関する操作をすべて行うことができます。 - Author(編集者)
データソースへの接続 (AWS 内外を問わず)、可視化の作成、データの分析ができるユーザーです。 - Reader閲覧者
ダッシュボードの閲覧のみが可能なユーザです。
なお、ダッシュボードの閲覧権限がついていたからと言って、ただちにダッシュボードが閲覧可能になるわけではありません。リソースの作成直後は作成者しかアクセスできず、作成者が共有をすることでほかのユーザーが閲覧可能になります。
QuickSightの料金とエディションについて
QuickSightの料金は、エディションと呼ばれるライセンス体系により大きく変わります。
エディションとは
QuickSightではStandardとEnterpriseの2つのEditionがあり、使用できる機能と料金体系が異なります。具体的にEnterprise Editionのみ利用できる機能としては、下記の通りです
- Reader権限の利用
- メールレポート
- VPC、オンプレミスのデータへのアクセス
- 行レベルセキュリティ
- Active Directory連携
- ダッシュボードの埋め込みとAPIサポート
- 機械学習機能の使用
IT部門などで小規模に利用する場合やPoCの場合はStandardでも問題ありませんが、本番環境にQuickSightを導入する場合はEnterpriseを選択するといいでしょう。
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Standard Editionにおける料金体系
Author権限のみとなり、1ユーザー当たり月額12ドルです。年間契約をすると月額9ドルになります。また、ユーザーあたり10 GBのSPICE 容量が用意され、それを超えると1GBあたり0.25ドル料金がかかります。
Enterprize Editionにおける料金体系
Enterprizeエディションの料金体系はちょっと複雑ですが、基本的にはユーザー数とSPICEの容量による課金です。Author権限は1人当たり月額24ドル、年間契約をすると月額18ドルになります。またReader権限は1セッション(ログインしてから30分)あたり0.3ドル、最大5ドルとなっています。また、ユーザーあたり10 GBのSPICE 容量が用意され、それを超えると1GBあたり0.38 USD料金がかかります。なお”基本的に”と記載したのは、上記に加え利用する機能によってさらなる課金が発生するためです。
まとめ
世の中には様々なBIツールが開発されていますが、QuickSightは非常に多機能で、AWSを利用している場合は簡単に導入できるという特徴があります。BIツールはデータを起点とした意思決定には非常に重要なツールとなっており、QuickSightによるデータ分析の重要性も今後増していくことが考えられます。導入に際しては、どの機能を活用したり、料金を事前に把握したり、といったことも重要になってくるため、AWSに詳しいパートナーに相談してみるといいでしょう。